【レポート】「地上侵攻が始まれば、医療は崩壊するだろう」

「イスラエルの地上侵攻が始まれば、医療は崩壊するだろう」(IRINレポート転載)

以下のレポートは、IRIN(国連人道支援情報サービス)によるもので、米国に本拠を置くEI(エレクトロニック・インティファーダ)が12月31日に転載したものです。

ガザ市の状態

ガザの主要な病院では今後のことを予想し憂慮している。
もしイスラエル軍が150万人のパレスチナ人が住む小さな海岸沿いのこの地区で地上戦を開始したら、既に疲弊している医療システムは機能しなくなるだろう。

2008年12月30日、イスラエル軍によるガザ地区への空爆で負傷した一人のパレスチナ人がエジプト、カイロのナセル病院に運び込まれた。

ガザの保健省によると、12月30日夜の時点で、イスラエル軍の攻撃による死者数は380人、負傷者1800人に達した。世界保健機関(WHO)によると、死者の中には子ども30人と女性9人が含まれていて、250人の子どもが負傷している。多くの負傷者の親戚は緊急処置を受けるために家族をエジプトの病院に移すことを切願している。WHOは15人の患者がラファの国境を越えて、救急治療のためエジプトに渡ったと報告している。

30日の記者会見で、パレスチナ医療援助協会の職員のヤジは、ガザには計2,053の病床があるが、それでは足りないと発表した。

12月27日の午前中より、ガザの病院は緊急治療室に送り込まれる外傷患者でごった返している。
「いっぺんに150人の患者が運び込まれた。」とシファ病院の緊急治療室の看護師であるハレド・アル・ナジャールは言う。「ベッド、無菌の手袋、シーツ、はさみ、ガーゼなどが不足している。」

不足

「それに胸腔チューブ、ピンセット、動脈鉗子、人工呼吸器、モニターもない」。ナジャールによると、緊急治療室のスタッフのほぼ半分は、12月27日以降募集したボランティアスタッフである。

「部屋数も医療器具も全く足りず、我々は本当に忙しい」シファ病院で24時間シフトで働いている9人の外科医のうちの一人であるズィヤラは言う。この小さな医療チームが12月30日時点で、何百人もの挫滅損傷や重篤な外傷を負った患者を治療している。「建物の瓦礫が患者の頭上に落ちてくる」とズィヤラ。

集中治療室(ICU)、熱傷治療室、整形外科、外科処置室は収容限度を超えていて、さらに12ある手術室の10室は緊急治療に使われているとシファ病院のアシュール院長は述べた。

シファ病院の集中治療室(ICU)には25の生命維持装置があるが、血圧や体温を測定するのに、酸素循環器や心臓を働かせるためにも使っているため、「少なくとももう25台の生命維持装置が必要だ。」とアシュール。「X線防御服とガーゼも不足していし、3ヶ月間も病院は医療機器や薬品の補給を受け取ってない。」

WHOによると12月30日に最初の緊急医療物資を積んだ約90台のトラック(そのうち53台は援助機関による物資)がカルニ検問所からガザに運ばれた。


Kamal Adwan病院


この病院はガザ北部のジャバリヤとベイトラヒアを担当している。ジャバリヤにはガザ地区で一番大きい難民キャンプがあり、30万人の人々が暮らしている。

基礎的な抗生物資、鎮痛剤、ヒドロコルチゾン(ステロイド系抗炎症薬)が欠乏しているとバッサム・アブワルダ院長は語った。

「イスラエル軍の大きな侵攻が始まったら、病院は崩壊するだろう。」とアブ・ワルダは警告している。

「土曜日(12月27日)は、93人の患者が緊急治療のために運び込まれ、我々は仮のベッドを用意しなくてはならなかった。」12月27日より24のベッドを追加して、71のベッドができた。この病院の緊急救命士は、職員も医療物資も救急車も足りないと言っている。

12月27日、イスラエル軍はガザ地区の首相であるイスマイル・ハニヤの家もあるビーチ難民キャンプにミサイル攻撃を加えた。ミサイルの燃え上がる破片によってマフディ・ハティブ(48)の弟アクラム・ハティブ(35)の体の一部が引き裂かれてしまった。

その瞬間を目撃した兄は次のように語る。「彼はひどく出血して地面に倒れていたが、2回目の爆発を恐れていたため私たちが彼を助けに行くまで15分もかかりました。救急車はなかったので、タクシーでシファ病院に連れて行きました。」

ラファのトンネルが爆撃される

12月30日、イスラエル軍はラファのエジプトとガザの境界にある数十もの地下トンネルを爆撃した。ハマスが武器の密輸用に使っていたという嫌疑をかけての爆撃だった。

保健省の広報担当者のハマン・ナスマンは次のように言っている。「エジプトからの燃料の輸送はわずかなもので、救急車を走らせる程度だった。2007年6月にガザ地区でハマスが選挙で勝利して以来、イスラエルは経済封鎖をしている。その結果、整備部品が不足していて半分以上の救急車は動かすことができない。」

地下トンネルはイスラエルによる経済封鎖に抵抗して、燃料、料理用油、医薬品、食品などを輸入するために使われていた。

住民の避難が始まる

一方でジャバリヤやベイトラヒア地区の住民はさらなる攻撃を恐れて家を離れている。

イスラエル当局がハマス指導者の家は爆撃の標的になると通告してから、「私たち、妻と2歳の息子は昨夜家から避難しました。」と編集者のサミ・アブ・サレム(38)。「私たちが持ち出したのはわずかな食料だけです。まだ家に帰るのは怖いです」。

ガザの海岸地区水道局は次のように言っている。「ひとたび水道施設のネットワークが破壊されたら、燃料と予備部品の不足のために、修復することはできないだろう。」

11月上旬より援助団体のガザ地区への立ち入りは厳しく制限されている。地上戦が始まったらますます状況が悪化するだろう。


≪ガザ封鎖解除署名を継続しています。≫
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テーマ:NPO - ジャンル:福祉・ボランティア

2009.01.03 | | 2009年 【ガザ】

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