イスラエルのガザ地区への攻撃で

イスラエルのガザ地区への攻撃で

パレスチナ子どものキャンペーン
2008年3月20日


●アトファルナの生徒にも犠牲者が
 パレスチナ子どものキャンペーンは、ガザ市のアトファルナろう学校とハンユニス市のナワール子どもセンターを地元NGOと共に運営していますが、最近のガザへのイスラエル軍の攻撃によって関係者に犠牲が出ていることに、強く抗議し、日本社会がこの問題にもっと関心を向けるように訴えます。

 私たちが1992年以来運営支援している「アトファルナろう学校」の生徒、14歳のビラルが犠牲になったというニュースが届いています。ビラルは難聴で、2001年からアトファルナに通っていました。ビラルはガザのシファ病院の近くに住んでいて、犠牲の多さに興奮した人々が自治政府と衝突した際に巻き込まれて死亡したようです。聴覚障害のある人たちは、こうした大変に混乱した状況の中で厳しい状況に直面しています。このほかわかっているだけでも、アトファルナの職業訓練生の家族にはイスラエル軍の爆撃によって何人かの犠牲者が出ています。アトファルナろう学校が開校されて15年以上経ちましたが、生徒に犠牲者がでたのは初めてです。

 ハンユニスでは、ナワール子どもセンターを共同で運営しているCFTA代表のマリアムの甥が爆撃で犠牲になりました。また、2006年に来日したマジダは就寝中に近くに爆撃があり、割れた窓ガラスで負傷しました。ガザの通信員のイブラヒムは、シファ病院でボランティアをしていて死傷者の救護に当たっていましたが、これまでになくひどい状況だと伝えています。死者の損害もひどく、イブラヒム自身、何度か卒倒したとのことです。

 ガザでは2月終わりから3月はじめに、イスラエル軍の大規模な攻撃によって、少なくとも130人が死亡していますが、その1/4は子どもたちです。ディフェンスチルドレン・インターナショナル・パレスチナ支部(DCI/PS)によれば、2月27日から3月3日の間に31人の子どもが殺されましたが、その中には、3人の女の子、生後6ヶ月の赤ん坊(ガザ市)を含む5人の12歳以下の子どもがいました。内務省のビルがイスラエルの空爆に寄って破壊されたとき、破片が隣接する家の天井を突き破って、就寝中のムハンマド・アルブライは即死しました。殺害された子どものうち、武装組織にかかわっていたのは3人だけ。犠牲者のうち7人は家の中にいるときに殺されています。少なくとも4人の子どもがイスラエル軍の狙撃によって射殺されましたが、そのうち3人は家の中にいました。こうした非武装で、イスラエル軍にどんな脅威も与えない状況で、過剰な軍事力が行使されたことは、意図的な子ども殺害の可能性があるといえます。こうした意図的な殺害はジュネーブ条約の重大な違反で、戦争犯罪になります。


●経済制裁により人口の80%が食糧援助に頼っている
 2月に来日したアトファルナのジェリー・シャワ校長は、ガザの危機的な状況は、意図的に作り出されたと何度も強調しましたが、最近の報告によれば、2006年には食糧援助を必要としていたのはガザ住民の60%であったが、2008年に入ってその割合は80%となり、更に上昇する見込みだといわれます。UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)は、1999年には、ガザ地区の難民16000世帯(約10万人)に対してだけ食糧供給していたが、現在では世界食糧計画と共に110万人の人々に援助を提供しているのです。

 イスラエルはガザを封鎖し、経済制裁しているため、商店も工場もほぼ全てが閉鎖に追い込まれ、ガザの産業の95%が操業停止し、ガザの経済は全く機能していません。各世帯には食料を買う現金もなくなり、購入できる食糧も限られています。また食糧価格は上昇し、小麦粉、粉ミルク、食用油という基本的な物資も非常に不足しています。また医療を受けるためにガザ地区から外に出る許可が出ないために、2007年7月から2008年2月までに少なくとも20人が死亡しています。

 2006年のイスラエル軍による電力発電所の空爆以来、ガザ地区は電力供給の停止や燃料の輸入制限に苦しんでいますが、電力供給は需要の30%しかなく、一般家庭はもとより医療機関に深刻な影響を及ぼしています。また、住民の1/3に対する水の供給が滞り、下水処理が出来ないために毎日4000~5000万リットルの汚水が海へ垂れ流されています。

 私たちは、ガザの市民に対してイスラエルが自制のない軍事力を行使したことを、強く非難します。同時にパレスチナ側によるイスラエルに対するロケット攻撃にたいして非難します。しかしロケット攻撃をもって子どもを含む市民の、意図的で冷酷な殺害を正当化することは許されないと考えます。イスラエルの過剰な軍事的反応は、国際的人道法に対する深刻な違反であり、また、幾つかのケースは個人が犯罪責任を問われる戦争犯罪に相当します。また、これらの攻撃をもって、イスラエルが自治区の封鎖継続を正当化することはできないと考えます。

 また、こうしたイスラエルの人権侵害を国際社会が放置している状況に憤りを感じます。ジュネーブ第4条約の締約国に条約の条項1による義務を果たすよう呼びかけ、特に、イスラエルが条約の義務に従うよう強く求めます。

 日本政府に対しては、中東和平に積極的に関わるためにも、外交的、政治的また経済的圧力によって、イスラエルが国際的人権と人権法のもとの義務を遵守するように影響力を行使することを求めます。


●詳しい状況については・・・
『世界』4月号(岩波書店2008 No.777)
「レバノン・ガザからの報告-深まるパレスチナの困窮」

2008.10.20 | | 2008年

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